うきわ ―他人以上、友達未満―
https://gyazo.com/ec49234d0e7ae254be4808190a63a73c
配信開始 : 2021年8月
メディア : Paravi
エピソード数 : 全8話
「うきわ ―友達以上、不倫未満―」のParavi限定スピンオフ作品で、本編で麻衣子のバイト仲間だった大学生の佐々木誠と、一の部下・愛宕梨沙は実はマッチングアプリでつながっていて、そのふたりのメッセージのかけあいをベースに、本編ではツッコミ役であまり掘り下げられなかったふたりの物語が展開していく話。 とても素晴らしかった本編の最終話を見終えた後、余韻に浸りたい気持ちでParaviに登録して一気見はせずにちびちびと噛みしめながら観てみたら、ついでに作られた小品だろうという予想に反して、こちらはこちらでちゃんとテーマを感じる面白いシリーズだった。拾い物と言うと少し違うけど、こういうスピンオフ作品が結構ちゃんと作られてるのが知れて嬉しい。とは言え、たぶんこれで一旦Paraviは解約してしまうつもりなので、今後面白いテレビシリーズが放送された時にまた登録して月額料金を払って観る事になるかというとまだちょっとわかりませんが。
ちなみに本編を担当していた内の太田良というディレクターと、もう一人別の高橋名月という方が演出をしていた。
https://gyazo.com/e1df13e1658542c66c1fb0b9f63a3935
佐々木(高橋文哉)はクリーニング屋のアルバイト店員で、若者にありがちな人間関係に関して醒めていると見せかけて、臆病なだけだったりする大学生。淡白な私生活を送っていると思われ、店先に飾られた観葉植物に水をやりながら声を掛けたりしている。それを不憫に思った友人にけしかけられる形で投げやりに登録だけしていたマッチングアプリを、暇を持て余したバイト中にたまたま覗いてみたところ、一件のいいねがついている事に気がつく。 https://gyazo.com/60957f8411c1707dde3b2b169ff24ac4
プロフィールも適当な佐々木のアカウントにいいねを送ってきたのは愛宕梨沙(小西桜子)という会社員だった。どこか世間に対して斜に構えたところのある彼女は、マッチングアプリに登録したのも交際相手を探すというより人間観察的な興味からであり、本気で相手を探すようなモチベーションはなく、ただ他のユーザーの動向を眺める事を嘲笑するように楽しんでいる。 ところが、ある日物見遊山にスクロールしていたユーザ一覧の中に、自分の好きなアニメのレアな缶バッジの写真をアイコンにしている佐々木のアイコンが目に入った事で、あわよくばその缶バッジを手に入れようという、きわめて打算的な目論見から佐々木にいいねを送ったのだった。
佐々木もまんざらでもない気持ちなのか、物珍しい気持ちでなのか、とにかく梨沙にいいねを返した事でふたりはつながり、メッセージをやり取りするようになっていく。
打算や不信感からスタートした腹の探り合いのようなやりとりから始まった交流ではあったが、つかず離れずのやりとりを続ける内、いつの間にかふたりはただお互いの会話を楽しむようになっていき、それぞれ自分の中に相手への好意が芽生えている事に気づき始める…みたいな感じ。
こんだけSNSがありふれている今、オンラインのメッセージでしかつながっていない人々の交流の物語を指して(ハル)みたいと言うのは、ちょっと間抜けなような気はしてしまうのだけど、メッセージだけでのコミュニケーションを一要素として登場させるのではなくて、メインのモチーフにして構成された映像作品となると、もしかすると現代においてもスピンオフの様なサブの企画だから通る話で、意外と作られていないからそう感じるのかもしれない。